三分法では、商品売買で“仕入”と“売上”のみを使用しました。
残りの“繰越商品”は決算時に使用するのですが、これを使わなかった場合、
どのようになるかをまずは見てみましょう。
—繰越商品がなかった場合の問題点—
(例題)
20×1年:商品を10個仕入れて、3個しか売れなかった。
仕入100|現金100
現金 45|売上45
20×2年:仕入れを行わず、抱えた在庫商品をすべて売り上げた。
現金105|売上105
ここでおかしなことが起きます。20×2年は何も費用をかけずに収益が出てしまいました。
3級範囲にはサービス業は含まれないので、必ず形あるモノを仕入れて、それを販売するので、費用が掛からない(=仕入れがない)状態で売り上げがでることはありません。
—繰越商品がなかった場合の問題点 以上—
この問題を“繰越商品”を使用して解決しましょう。
- 仕入を行う。
仕入 100|現金 100
そして、決算日に在庫を確認する。3個売れて、7個在庫として残っていた。この在庫の7個の存在は帳簿上、仕入100円の中の70円で表記されている。しかし、費用として表記しておくと、来期になったら消えてなくなってしまう。
そこで、この仕入 70を形ある資産として計上する。まずは、仕入 70を取り消し、
|仕入 70
資産として、勘定科目の“繰越商品”を使用する。
繰越商品 70|仕入70
これで、来期になってもこの在庫を帳簿上に残しておくことができる。
- 来期を迎え、この商品をあたかも今仕入れたかのように仕訳を行う。
仕入 70|繰越用品70
そして、この商品を売り上げると、
現金 105|売上 105
この作業が毎年あると、期首に借方:仕入、貸方:繰越商品、決算で借方:繰越商品、貸方:仕入となるので、これを☆し・くり・くり・し と覚えるとよくテキストで書かれています。
☆仕訳まとめ
①期首時、前期の在庫が繰越商品として帳簿に残っているので、仕入を行ったことにする。
しいれ くりこししょうひん
仕入 |繰越商品
②期末時、今期の在庫が仕入という勘定科目で帳簿に残っているので、繰越商品に振り替える。
くりこししょうひん しいれ
繰越商品 |仕入
☆精算表図p241
この問題は決算日を跨ぐことができない費用と収益を使用している三分法でのみ発生して、分記法では起こりません。
⇒詳しくは三分法と分記法
コメント